正反対のコンビが語る「僕たちの大人論」
#アスナル金山 #20周年 #バッテリィズ #オリジナルインタビュー
『M-1グランプリ2024』で準優勝という快挙を果たし、人気急上昇中のお笑いコンビ「バッテリィズ」。2025年4月に東京進出を果たし新たなスタートを切りました。価値観が正反対の2人が大人として、芸人としてありたい姿、夢や目標などを伺いました。

―大人になって良かったと感じることはどんなことですか?
寺家
「自由」ですね。僕は18歳で一人暮らしを始めました。独りで生活する寂しさはありましたが、好きな時間にご飯を食べたり外出したり、自分の時間をとにかく自由に使うことができました。 実家の両親に割と厳しく育てられたこともあって、当時感じた「解放感」は感慨深いものがありましたね。もちろん、「自由」と同時に「自律」みたいなものも突き付けられましたが、18歳で「自由」を得たときの感動は、肌感として今でも強く残っています。
エース
実は大人になって良かったことは何一つないんです(笑)。全てにおいて、子供の頃の方が楽しかったですね。僕の場合、「自由」という点においては、子供の頃も十分自由でしたしね。むしろ、大人の方が「目に見えない不自由」が多いと感じています。
例えば、大人になってから誰かに怒られたら、周りの目が気になってしまいとにかく恥ずかしい。そのうえ、反省しなけければならないことも多い。けれども、子供の頃は誰かに怒られたとしてもそれほど恥ずかしくないですよね。世間的にも子供なら許容してもらえます。多少理不尽さを感じても「何言うてんねん!」って心の中で突っ込んでいればよかったですしね。
―正反対の「大人」観に驚きました。では、30歳を過ぎて大人として意識されていることはどんなことでしょうか?
寺家
今はとにかく「健康」ですね。結婚して子供ができ、子育てをしていくなかで、20代の時のように好き放題していてはいけない体だとしみじみ感じています。自分一人だけの体ではないんやなと。最近は特に食べ過ぎないように注意しています。
エース
僕は「大人になっても子供の心を忘れない」ということを意識しています。仕事においてもプライベートにおいても、とにかく「全力で取り組む」、「すかさない」ことを意識しています。子供の頃から毎朝時間をかけて入念に歯を磨いているのですが、その後に鏡の前で全力の笑顔を作って一日をスタートさせています。小さな習慣ですが、そうすることで毎日が明るく楽しくなるんです。

―芸人として12年目に突入し、悲喜こもごもあったことと思います。最も嬉しかったこと辛かったことを教えてください。
寺家
『M-1グランプリ 2024』は、芸人人生において最も大きなイベントでした。M-1で決勝進出が決まった瞬間と最終決戦で準優勝に決まった瞬間が、一番嬉しかったですね。
一方で吉本の劇場で行われるトーナメントでなかなか上に行けず、何度も敗退していた時期はとにかく苦しかったですね。僕は、同期の中では最下位クラスの劣等生でしたから、どん底の時期を長く経験しています。その分、M-1で結果を残せた喜びはひとしおでした。
エース
僕は、『M-1グランプリ 2024』の2日後に『さんま御殿』(日テレ)の収録で、明石家さんま師匠に会えたことが一番嬉しかったです。子供の頃からずっと憧れていたさんま師匠とバラエティ番組で一緒に仕事ができたのは、感慨深かったですね。
憧れていたさんま師匠は、TVで観ていたそのままの人柄でとにかく明るい。「畏れ多いオーラ」なんかは、あえて消しているんじゃないかなと思うほど親しみやすい方でした。お会いした瞬間、自然と笑顔がこぼれてしまいましたから。
最も苦しかった時は、パチンコで負けてお金が全く無くなってしまったときですね(笑)。当時はお給料も少なくて、生活費に充てなければならない少額のお金をパチンコに使って、さらに負けてしまうという……。
当時は、極貧で芸人仲間におごってもらったり、お金を貸してもらったりとお世話になっていましたが、誰からもサポートが得られないときは「砂」を食べていました(笑)。まあ、自業自得なんですが。けれども、こういった苦労をすべて乗り越えて、最終的にさんま師匠に会うことができました。

―2025年4月から東京進出されたとのこと、おめでとうございます。これからの抱負をお聞かせください。
エース
東京進出したからどうこうというのはなく、あえて変わらないことを意識していますね。これまで大阪で培ってきたことを東京でも変わらずにアウトプットしていけたらいいなと考えています。
大阪時代は、バッテリィズのことをずっと見てくれていたお客さんが多かったのですが、東京のお客さんは目新しい感じで、前のめりで観て笑ってくれている感じが嬉しいですね。今の感覚を大切に、この先もお客さんに飽きられないようにしたいです。そして、最終的にさんま師匠みたいに「誰もが知っている芸人」になりたいです。そのためには、TVなどのメディアにたくさん出演したいです。
寺家
僕は、芸人としてそれほどハングリー精神がないんです。だから、気負わずに今まで通りに歩んでいきたいですね。分析と思考を繰り返す作業が好きなので、その作業を日々楽しみながら自分たちの笑いを磨いていければと考えています。
―さらに40代、50代と年を重ねる中で、どんな芸人になりたいと考えていらっしゃいますか?
寺家
僕は40歳になったときの方が、芸人としての魅力がもっと出ているんじゃないかなと思っています。いい意味での「変なやつ」という色気を出していけたらいいなと思いますね。
昨日、僕たちのライブに爆笑問題さんが遊びに来てくれて、田中さんと太田さんにお会いしたんですが、お2人にはなんとも言えない芸人としての色気がありました。お2人のように、芸人として活躍し続けた人ならではの色気を中年以降出していけたらなと感じています。
エース
僕はライフステージが変わったとしても一貫して「子供」でいたいですね。将来的に子供ができたりしたら、その時は子供と鬼ごっこをして全力で遊んでいたいですね。

―最後に、お2人にとって一言で「大人」とは?
エース
「我慢」です。だから、僕は絶対に大人になれないですね(笑)。年齢を重ねれば、体はどんどん衰えていくかもしれませんが、心はいつまでも子供のままでありたい。格好つけたりすかしたりしないで、何でも全力で取り組む人であり続けたいです。
寺家
「本番」ですかね。今、父になり子育てをしています。子供は保育園や学校に行き、読み書きなどの教育を受け社会に出ていきますよね。子供のころは社会に出るための準備期間、つまり「リハーサル」です。このリハーサル期間に培った経験や価値観を土台にして社会(本番)に出て、自らの力を発揮していきます。何かしら世の中に発信し次の時代にインパクトを与えていくのが大人の役割なのかなと考えています。

【プロフィール】
バッテリィズ
バッテリィズ エース(1994年11月2日生まれ、大阪府生まれ)と寺家(1990年8月7日生まれ、三重県生まれ)によるコンビ。2017年コンビ結成。草野球チーム「上方ホンキッキーズを創立し、エースが投手、寺家が捕手と務める現役のバッテリー。2024年のM-1グランプリ準優勝。ABCラジオ「がっちゃんこ」金曜パーソナリティ。
■バッテリィズのネタch
https://www.youtube.com/@batteries_manzai